無人飛行機を電波タワーにして、大規模災害に備える

少し前の話になりますが、2016年2月16日に、「空飛ぶ電波タワーとしての小型無人機活用の取組みとUWBを用いた高精度屋内測位技術の開発」という、電子情報通信学会主催の一般講演会に参加してきました。発表者は、NICT ワイヤレスネットワーク研究所の三浦 龍 室長でした。

大規模災害時に、地上の基地局が被災して情報孤立してしまった被災地へ、小型無人機(ドローンみたいな無人飛行機)を飛ばして電波タワー代わりにすれば、素早く通信を復旧できるのでは?というのが研究テーマです。

実証実験で使用された小型無線機はPUMA-AEで、元々アメリカの軍用だったものが、商用利用可能になったのだそうです。(購入しようとすると数千万するらしいです。気軽には買えないですね(笑))

このPUMA-AEに、専用の無線モジュールを搭載して、電波タワー代わりにします。実証実験では、10Km程度の圏内まで通信できたそうです。

実証実験をするにあたっては、電波を遠くまで飛ばす必要がある為、総務省から、許可が必要な通信帯域を割り当てて貰ったそうです。電波法に準拠する為にこのような手続きが必要になるそうで、提出書類が多く、時間もかかるので大変だと言っていました。

私を含めほとんどの一般市民は、市場に広く出回っている携帯、Wi-Fiルータ、BlueToothデバイスなどの通信機器しか使ったことがないので、電波法を意識する機会はまずありません。

携帯が使用している帯域は各キャリアが総務省から免許をもらっているし、Wi-Fi、BlueToothはそもそもISMバンドと呼ばれる免許不要な帯域を使っています。

私は、今回の講演会で、これらの通信機器以外を使った無線ソリューションが研究されている事を初めて知りました。加えて、それを実現しようとすると、電波法という壁があるのだということも初めて知りました。

とても面白く、タメになる講演会でした。